試行・思考

[AHP(Analytic Hierarchy Process)] 主観を数値化する意思決定法[階層分析法]

三浦さん
三浦さん
秋月さんはこの休みで旅行に行くんじゃなかったですっけ??
秋月さん
秋月さん
そうなんですよ!!
でも少し旅行で泊まるホテル選びで迷っていて… .
三浦さん
三浦さん
ホテル選びですか??
秋月さん
秋月さん
一応プランを3つほどに絞っているんですけど…
それぞれ一長一短があってなかなか決めれないんですよね.
三浦さん
三浦さん
プランが3つに絞れているならAHPを使ってはどうですか??
秋月さん
秋月さん
AHPですか??
聞いたことないです.
三浦さん
三浦さん
そうですか.
ではこれを機にAHPを覚えて,
実際にホテル選びをしましょう.

AHPとは

AHPとは Analytic Hierarchy Processの略で,階層分析法と呼ばれる意思決定手法の一つです.

私はOR(Operations Research)を学習しているときに出会いました.

簡単に言うと,主観が求めるものに最も近い案を決定する手法です.

主観を数値化し,各自で決めた評価基準を比較して案を絞っていきます.

この手法はすごく便利ですし,いずれ皆さんの役に立つであろうことは保証できますが,

以下の2つのことに注意をしてください.

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1. 計算量が多い

これが1番厄介です.

これから選ぶホテルが3つの場合を例にAHPを説明していきますが,

それでも計算が結構面倒です.

プランが複数ある場合はAHPは使いづらいということを覚えておいてください.

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2. 平均(重み)のとり方がさまざまである

以下の説明で,計算途中に平均を取る必要がでてきます.

今回は「幾何平均(相乗平均)」用います.

(幾何平均:数値を掛け合わせ,その個数の乗根をとる平均のとり方)

ですがAHPでは幾何平均の他にも固有ベクトルを用いる手法があります.

今回の説明だけがAHPの計算を行えているというわけではないので注意しておいてください.

AHPの計算

AHPは大まかに3つのステップに分けることができます.

1.自身が設定した問題の階層構造図を作成する.

2.階層図の各要素を一つ上の要素からみた一対比較を行う.

3.一対比較の結果から要素の重みを計算,総合評価の決定をする.

では順にやっていきましょう!!!!!

今回の例

今回秋月さんはホテルを選ぶ際に,

料金,料理の美味しさ,何泊なのか

を重視し,ホテルを3つに絞っています.

1.自身が設定した問題の階層構造図を作成する.

AHPでは階層構造図というものを作成する必要があります.

これは目標,評価基準,(代替)案を縦に並べた図となっています.

今回であれば目標は「1番良いと思うホテルを選ぶこと」

評価基準は「料金」,「料理の美味しさ」,「ホテルの泊数」

案は「ホテルA」,「ホテルB」,「ホテルC」

となります.

一対比較表

次に我々評価者の主観でどの評価基準を重視するのか決めていく必要があります.

そこで,それぞれの評価基準を一つ取り出して残りの評価基準とどちらが大事かを一つ一つ判定していく必要があります.これを一対比較法といいます.

ここで思い出していただきたいのは,このAHPは「主観を数値化する」といいました.

つまり,一対比較する場合においても何かしらの数値を与える必要があります.

ここでは適当に,重要だと思う順に「1,3,5,7,9」という数値を割り振るものとします.

1は同じくらい重要,9なら絶対的に重要といった具合です.

もちろん,数値は適当なものを自分で決めてもらっていいですが,なるべくなら奇数だといいかと思われます.

ここでは私の主観で「料理の美味しさ>料金>泊数」で重要だと考えたとします.

使う数値は「1,3,5」とします.

すると以下のような表を得ることができます.

見かたとしてはまず「行(横)」に着目してみてください.

料理を例にあげると,料理と料金には「料理>料金」の関係があるので3を代入します.

次に料理と泊数には「料理>>泊数」の関係があるので3よりも大きい5を代入します.

料金で見てみると,料理に対しては重要ではないので逆数である1/3が,

泊数よりは重要なので3が代入されています(3や5という数値は適当に決めてください).

同様にして泊数の表も埋めます.

2.階層図の各要素を一つ上の要素からみた一対比較を行う.

では,先程作成した一対比較表を用いて重要度を計算していきましょう.

まずは「行」を見て,幾何平均を計算していきます.

例えば泊数を見てみましょう.幾何平均は,

(幾何平均:数値を掛け合わせ,その個数の乗根をとる平均のとり方)

でしたね.

なので評価基準である3つをすべてかけてください.

そしてそのかけた個数分(今回なら3個)の乗根をとるので,三乗根を計算します.

これを他の評価基準に対しても行ってください.すると幾何平均の列が埋まるはずです.

次に重要度の計算を行います.

これは簡単です.自分の幾何平均を全ての幾何平均の和で割るだけです.

では,計算された重要度を見てみてください.

料金:0.258284994
料理の美味しさ:0.636985572
泊数:0.104729434

「料理の美味しさ>料金>泊数」

となっていますね.大丈夫そうです.

3.一対比較の結果から要素の重みを計算,総合評価の決定をする.

重要度を計算できたので次は評価基準ごとの一対比較表を作成し,同様に計算していきます(ここが大変ですね).

ここらへんの計算はExcelを使えば楽になると思います.

ここで計算した結果は評価値(重み)となります.

[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”rleft.png” name=”三浦さん”]頑張ってください.
あと一息です.[/speech_bubble]

では最後に,計算した結果を合わせ,総合評価を計算します.

総合評価は評価値と重要度をかけたものを足し合わせることで得られます.

以上,総合評価の値が大きい順で目標を達成しやすい案であることが示されます.

つまりこの場合だと,

ホテルC > ホテルB > ホテルA

で目標を達成しやすいことがわかるのです.

私の場合,料理の美味しいリッチなホテルCがいいってことなんですね… .

一度でいいから確かに泊まってみたいけど…(笑).

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さいごに

どうでしたでしょうか.

私はこのAHPを編入先の住居を決める際に使ったりしました.

意外とこれを読んでくださっているみなさんも使う機会が来るかもしれません.

是非ブックマーク等をしていただいて,何か変わった手法で案を決めてるやついたなぁって思い出していただくことがあれば幸いです.

ABOUT ME
しまさん
高専→大学編入→大学院→? / 計算社会科学,ウェブマイニングなど / グレープフルーツと本が好き / SNS(Twitter,YouTube,Twitch)やVTuberのデータ分析屋 詳しいプロフィールはこちら≫ 投げ銭はコチラ